とことんまで噛み合ない二人 ボーイズオンザラン

週刊スピリッツ連載のボーイズオンザランマンガがあればいーのだ。)でいよいよ田西対青山のガチンコ対決が始まった訳です。フィギュア業界につとめててガチャガチャの新規参入で大手にいじめられ、女子にモテない私としては田西に非常な親近感を抱いていた訳であります。マンモスはなんかバンダイのベンダー事業部?(いまはバンダイナムコだけど)と置き換えると凄く個人的にリアルな話な訳です。

で、先週号まででがんばれ田西! ヤリチンイケメン青山(主にヤリチンが許せない!)なんてぶっ倒せ〜と心より応援してた訳でありますが…
1ページ目を見てちょっと我が目を疑う。

(技名:アルマーダ)
青山の蹴りって…オレの良く知っている某格闘技に酷似している。そしてページをめくると前屈姿勢の変なポーズ(構えの基本:ジンガ。攻撃は全てこの姿勢から繰り出され、出し終わったらすぐこの姿勢に戻る)。コレでも未だ確信は持てなかったのが、3ページ目の最後のコマで決定的になる。カポエィラじゃん

(ジンガは常に左右切り替えて動き続ける)。
それも非常に実戦的にリアル
(しゃがんでの後ろ回し蹴り:ハブジャハイヤ…メアルーアジコンパッソとも言うらしい)。
いままでマンガや格闘ゲームで紹介されてきたカポエラは大技やあり得ない動きばかりで完全に色物扱いされてきた訳ですが、コレは非常に基本に忠実な動作で感心した。

しかも、派手なバク転を多用する身体能力に秀でた黒人じゃないと出来ないような西海岸スタイルでも、民族舞踊的な古典アンゴラスタイルでもなく、立った姿勢からの実践的なレジョナウスタイルは私が最も好んできた実用的な流派である。
…とここにきて親近感が突然わいてきましたよ。ヤリチン青山に! ヤツは同門だ。いけ〜田西をぶっ倒せ〜 あん新参の零細企業のモテない童貞やろうなんてやっちまえ〜
やっぱ働くなら大企業だよな。…と言ってちょっと自分が悲しくなってきたので青山攻略法を経験者的に考えようと思う。もうグラウンドになったので関係ないかもしれないけど、カポエラの弱点はズバリ前足の膝!

カポエラの動きは常に前屈姿勢で前足に重心を乗せ、後ろ足で蹴るのが基本であり、そのためローキックに非常に弱い! ローキックが攻防の基本となるムエタイを見れば分かるように前足はローキック対策に常に体重をかけずに浮かしているのが分かる筈だ。実戦的な技があるとはいえ、どちらかと言うと奇襲、奇策のオンパレードであるカポエラはとにかく防御が弱く、ディフェンスの多くはしゃがんで躱すことで成立する。つまりしゃがんで避けれないはローキックは天敵なのである。あとスライディングキックも苦手。特に全体重を載せた前足の膝に良い角度でサッカーボールキックや斧刃脚入れば一撃で戦闘不能にさせる事も可能である。
私も師匠から前足の膝は常に狙われるから用心しろと念を押されたし、実際逆方向に足が曲がってしまった人をビデオで見た事もある。ローキックを使うヤツと分かった段階でカポエラを使わない以外に効果的な防御手段は…おそらく無い。
そして…逆にボクシングには圧倒的に強い

(青山がしゃがんだ! カポエラの必勝形である。この姿勢を取られるとパンチは届かない)。
それを理解した上で作者花沢健吾が主人公の対極にある青山にカポエラを使わせたのなら、田西の逆転勝利は非常に低い可能性となる。

…と言うか、カポエラの実戦的技法には謝る振りをした姿勢からの攻撃が多彩だったりする訳で、さわやかな青山スマイルの裏の陰湿さに非常に良く似合う。

サラリーマンアッパーなんて奇襲技はそもそもカポエラの方が一枚も二枚も上手なのである。
土下座して許しを請う姿勢で相手にすり寄っていきなりズボンの裾をつかんで引き倒し、金的に蹴りを入れる流派なのである。
同門に町中で出会ったら奇襲を仕掛ける事を推奨し、不意打ちへの対処を学ばせる流儀なのである。
首に絹のネッカチーフを巻くのはファッションでなく、絹はカミソリの刃が通りにくいと言う理由だったりする流派なのである。
クライングフリーマンじゃ無いけど、足の指でカミソリの刃を挟んで首を狙って回し蹴りすると言う裏技も使う暗殺流派なのである。
…それゆえ、一対一で構えた状態での総合格闘はちょっと苦手なお茶目な武術なのである。
卑怯でやり逃げ上等、勝てば良かろうなカポエラを、そして青山を倒すのは、どっしりとかまえた王道の技しかないと物語的にも思う訳である。(少なくともアッパーは反則であるローブロー気味に撃てばカポエラに「当たる可能性のある」技であるため、勝ち目はゼロでないのだが…)例えば…バックドロップ? アスファルトでは必殺技になってしまうので砂場で使うとしたら悪くないかも。

どちらにしても砂場が吉と出るとか凶と出るか、カポエラだったら相手の目に砂をかけるぐらい普通にやるからなあ〜


(掌打『タパナ』もあるので立ち技も無くはない)

(蹴りの出せない密着状態だとカニばさみもある。頭突きや肘もあるので近い間合いでも油断出来ない)

ぶっちゃけカポエラは障害物の多いオフィス、狭いエレベーター、足場の悪い階段、揺れる電車の中などでは性能ががた落ちなので技より地の利で勝つ方が有効だと思う。つまり三戦だっ!!