ジャバウォッキー久正人マガジンzkc

ハイコントラストの絵って好きなんですよ。でもベタ影一色で描くのって境界線をどこに持っていくかが逆にセンスの問われるところで、まねしてみるとかなり難しい訳です。普通にアニメ塗りするときの影の付け方でやると全然ダメ。そんな事を悩んでいるときにこの本を見かけてジャケ買いした訳です。
正直、絵柄だけで内容なんて興味なかったのですが…読んでみるとコレがまた面白い。
パートナー以上恋人未満の凸凹コンビものって大好き。しかも片方は人類じゃない。
時代もロシアや中国が帝国だった頃、銃はシングルアクションで、主人公の片割れのガンスリンガーは腰に6丁ぐらいリボルバーをぶら下げている。ニコラテスラや坂本龍馬などの実在の人物もちょろちょろと登場し、奇怪な発明品も飛び出す。
しかし荒唐無稽なスパイ映画かと言うと、ちりばめられたうんちくや、歴史に登場するにはちょっと速すぎる技術など、バランスも絶妙。
そして作者のプロフィールそのもが、作品世界を記録した人物…という徹底ぶりであり、ライフワーク的に作品に取り組んでいる様が見える。絵柄そのものが作品世界を表現しているという意味で希有な作家性といえよう。ジュール・ヴェルヌの作品を絵本にしたような感覚で、ぐいぐいと世界に引き込まれていく。歴史の影に本当に「ジャバウォック」はいたのかも知れない…そんな気持ちにさせてくれる。
お試しで2巻まで読んだが、コレは追いかけなければ! 今7巻まででいるようです。楽しみだ


こういったイラスト的に絵を描き込むタイプの作品は、絵に動きが無くてアクションシーンに迫力が無いのが多いのですが、この作為品に限っては独特のセンスで凄くオシャレに描いている。一巻の最後の戦闘はシビれまくりです。


こういうカルトな作品は漫画喫茶とかで気軽に読めるというものではないので買わざる得ない。どんなに好きな作品でも週刊連載のメジャーな作品は発行ペースが速いし30巻以上のがざらにあるので置き場所に困る。木造アパートの二階なので、容積以上に重量が問題だ。床がきしむのですよ。ドアは柱が傾いてきちんと閉まらないし…