うまくなりたければ量をかけ(すがやみつる)

http://sugaya.otaden.jp/e416.html
量を書くことでしか質は向上しない(石ノ森章太郎
という言葉から始まってすがやみつる氏が石ノ森プロで働いていたときの経験が語られています。


すがやみつるといえば、ゲームセンターあらしを描いた漫画家ですが、作家でもありまして、長文をすらすらと読ませる文章力はさすが文章読本(文章書き方、小説の書き方などを記したノウハウ本で、様々な作家が書いている)を執筆するだけのことがあります。


そして締めは編集者と作家の関係に関して一言。
若手を集めて育成し庇護する組織こそ今漫画界に必要なのかもしれない。出版社と対等以上に交渉できる大作家あってこそだけど。
看板作家の連載とバーターで新人枠を用意するとかも、長い目で新人を育成するためには必要かもしれない。


とりあえず量をかけというのはナニはともあれ上達の秘訣です
それこそ自分の都合に合わせてでなく、無茶とも言える強行スケジュールで描きまくる事、そしてもう一つは、ちょっと尻込みしてしまうような媒体や責任を与えられる事。
自分のスケジュールでのんびりやって大成できるのは一部の天才や高い向上心と叩かれても自力で這い上がれる折れない心の持ち主だけで、それらをもたない凡人がプロとしてやっていく技量を得るために外圧が必要でしょう。
すくなくとも成長スピードは段違いです。
自分の経験からしてみても技量が若干でも上がったな、と思う瞬間はあり得ないぐらいの枚数を一気に仕上げたときや部数の多い出版物に掲載される時だったように感じます。
そういう意味では毎年同じ時期にあり得ないぐらいの量の仕事を貰えるのは売り上げ以上に技量向上にとっても有り難いことなのかも知れません。
乗り切った瞬間と掲載された瞬間の達成感は自信にもなりますし(その直後に2chの評価をみて絶望するわけですけど)



電脳文章作法 菅谷 充 (著)
ほかの文章読本系の作品よりかなり初心者向け内容になっており、特にパソコンでの小説の書き方にページを割いているあたりラノベが書きたい…というライトな層にはお勧めします。99年出版なのでちょっと古いので(なんせフロッピーディスクが現役の頃の作品ですから)、もしかしたらもっと新しくていい本があるのかもしれませんが一読勧めます。谷崎潤一郎川端康成あたりから手を出すと大やけどします。
丸谷才一は面白いけど川端康成の物からの引用があるのでちょっと敷居が高い。
井上ひさしあたりも軽めでいいですかね。

でも実は一番おすすめしたい本はタイトル失念したけど官能小説の書き方系の本がありまして…
長ったらしい前置きは無視して突然性行為から始めよ、とか礼子と玲子と麗子とれいことレイコでは同じREIKOでも受ける印象が違う…とか、性器を表現するときの様々な言い換えで語彙を増やすとか、性描写の擬音のあれこれとか一見しょうもない内容の中に実はエロ小説以外でも結構転用できそうなテクニックがあるじゃん…と思わせる名著でして
ああ…作品タイトル失念するってほんともどかしい。
実家の本棚にあるのですがさすがに両親に電話して、オレのフランス書院文庫専用本棚から官能小説の書き方のほんのタイトルと著者調べて…とは言えない訳で…じつにもどかしい。

ほかにも書き方系の本を紹介しているページがあったので個人的にメモしておきます
http://jhnet.maxs.ne.jp/petit/novel.html